失敗例から学ぶ投資の考え方と取り組み方

投資を成功させるために、成功事例を学ぶことが大切であることは言うまでもありません。
しかしながら、これから投資に取り組もうとしている方や投資を始めたばかりという方は成功事例以上に重視し、学ぶべきことがあります。

それが「失敗事例」です。

投資をはじめたばかりの方は投資で大成功を収めることをいきなり目指すのではなく、失敗事例を学ぶことで、まずは失敗せずに投資経験を着実に積み重ねてゆけるようにすることが大切です。

そこで今回は投資における具体的な失敗事例を二つ取り上げ、その事例から失敗を回避するためにどのようなことを教訓として学び取れば良いか解説致します。

目次

  1. 不動産投資の失敗事例
  2. 空室+補修費+賃料値下げのトリプルパンチで不動産を手放すハメに…
  3. 教訓:投資には必ずメリット・デメリットの双方がある
  4. 自分のステージにあった「メリット(またはデメリット)」を重視すべき
  5. FX投資での失敗事例
  6. Bさんが不動産投資ではなく、FX投資を選んだ理由
  7. 教訓:投資の手軽さはそれだけ簡単に失敗することも意味する
  8. 不動産投資に必要な手続きや時間は投資を冷静に判断する機会を与えてくれる

不動産投資の失敗事例:
サブリース契約を一般管理に切り換えたら収入が増えるはずだったのに…

不動産投資をはじめたばかりのAさんは、購入したアパートを不動産管理会社にサブリースすることにしました。

サブリースとは不動産管理会社がアパートやマンションを一括で借上げてくれる契約のことです。

サブリースならAさんは入居者の募集や入退去管理、アパートの管理等々に関わる必要がない上、家賃はサブリース契約を結んだ不動産管理会社が毎月支払ってくれますので、仮に空室が生じても契約期間中なら家賃収入が途絶える心配もありません。

そのため、Aさんは不慣れな状態で不動産投資をスタートさせたにも関わらず、着実に家賃収入を得ることができていました。

ところが研究熱心だったAさんはある日、ネット上でサブリースは収益性が悪いといったデメリットがあることや一般管理契約の方が手取り収入を増やせること、賃料もオーナーが自由に決めることができるので儲けやすいといった情報を発見します。

サブリースは不動産管理会社が居室を全て一括で借上げてくれる反面、その手数料(家賃の10%程度)を不動産管理会社へ支払う必要があります。

サブリースをやめて一般管理契約に変えれば、この手数料を安く済ますことは確かにできます。

また、サブリースでは賃料の設定は不動産管理会社に委ねられますが、一般管理契約ならオーナーが賃料を決めることができますので、理屈上賃料を上げることで更に収益を増やすことも可能です。

しかも入居者の募集やアパートの管理も、費用負担を除けば不動産管理会社が概ね代行してくれるため、「サブリースより断然良い」と思ってしまったAさんは一般管理契約に変更したのですが・・・

メリットだらけに思えた一般管理契約には大きなデメリットがあったのです。

空室+補修費+賃料値下げのトリプルパンチで不動産を手放すハメに…

一般管理契約には空室保証がありません。

入居者が退出し、次の入居者が現れるまでの期間は空室となるため、その間の家賃収入は途絶えることになります。

しかも、入居者が退出した場合には居室の補修費やクリーニング代などオーナーが負担することになります。

入居者の退出という予測しにくいタイミングで補修費等が発生する上、しかもその月の家賃収入が減ることでAさんは資金繰りに窮する月がたびたび生じるようになりました。

加えて、近隣に新築のアパートが出来たことなどでアパートの競争力が低下し、家賃を上げるどころか引き下げないと入居者を募集しても集まらなくなってきました。

その結果、サブリース時の手取り収入を下回る賃料設定にせざるを得なくなってしまい、サブリースを前提に組み立てていた収支計画が破綻、Aさんはローンの支払いができなくなってしまい、泣く泣くアパートを手放すことになってしまったのです。

教訓:投資には必ずメリット・デメリットの双方がある

この失敗例から学ぶべきこととはサブリースが良くて一般管理契約が悪いといった、単純な話ではありません。

Aさんは
・サブリース:収益性が低くなる、家賃設定ができない
といったデメリットと、

・一般管理契約:サブリースより収益性が高まる、家賃を自分で設定できる
といったメリットだけに目を奪われて判断してしまったこと、つまりメリットとデメリットのそれぞれ片方しか見ずに判断したことが失敗の要因となりました。

不動産投資に限らず投資はメリットだけ、あるいはデメリットだけというものはありません。必ずメリット、デメリットの双方があります。

従って投資を行う場合には必ずその投資のメリットとデメリットの両面に目を向ける必要があること、どちらか一方だけを見て早々に結論を出してはいけないということを一つの教訓にすべきです。

自分のステージにあった「メリット(またはデメリット)」を重視すべき

ではメリットとデメリットの両者を踏まえた上で、どちらを重視すべきかということですが、これは投資を行っている方によって異なってきます。

即ち個人差があるということです。

資金力があり、不動産投資経験も豊富な方が多少リスクを負って利益アップというメリットを優先した投資を行っても大きな失敗となってしまう可能性は低いでしょう。

その一方、投資経験が乏しい方が目先の収益性アップというメリットだけを優先し、無理して勝負に出ることは適切とは言えません。

収益性が多少損なわれるとしても安全性が高いというメリットがあるなら、少なくとも投資経験が乏しい段階ではそうした安全性を優先した方が望ましいと言えます。

FX投資での失敗事例:
不動産投資より手軽で簡単だったことが却って裏目に…

今度はBさんの事例です。

Bさんは不動産投資を行うか、FX投資を行うか当初迷っていましたが、主に次のような理由からFX投資の方を選びました。

Bさんが不動産投資ではなく、FX投資を選んだ理由

・不動産は購入にも売却にもかなりの手間と時間を要するが、FXなら口座を開いて投資資金を入金さえすれば、いつでも簡単な操作だけで手早く為替を売り買いできる。

・FX投資なら(勝てば)すぐに利益を獲得できる。

・不動産投資はまとまった資金が必要だが、FX投資なら5万~10万といった少額でも投資をスタートさせることが可能。追加の投資も5万~10万といった金額で行なえる。

ところがこうした理由が皮肉にもBさんを追い詰める結果となったのです。

FX投資は証券会社に口座を開設し、投資資金を入金すれば24時間いつでも自由に為替の売り買いをしかも簡単な操作で行えます。

その上、わずかな資金で大きな金額の取引を行なえるため、その手軽さにBさんはすっかりはまってしまいます。

最初の頃は少額投資で慎重に売買を行なっていたのですが、負ける金額が少なくて済む分、勝てる金額も少額であることから徐々に物足りなさを感じるようになります。

「1回の取引でもっと大きな利益を得たい」と欲が高まるようになり、5万~10万といった金額ながら口座へ投資額が振り込む機会が徐々に増えてゆきました。

また、仮に10万円投資資金を追加したとしても、FXなら数時間の取引で数十万円の利益を上げることができる場合もあるため、負けが続いても「勝ちさえすれば短時間ですぐに取り戻せる」といった発想をするようになり、投資の負けに対するBさんの感覚を次第に麻痺させていったのです。

Bさんは投資資金を追加し続けていった結果、投資資金として長年積み立てた5百万円をほぼ全て失ってしまうことになりました。

教訓:投資の手軽さはそれだけ簡単に失敗することも意味する

今回のBさんの失敗事例から

・投資の手軽さ=勝ちやすさ
では決してなく

・投資の手軽さ=勝つことも負けることも簡単に起きてしまうことで慎重さや冷静さを失ってしまいやすい
ということ、即ち手軽なことや簡単なことは必ずしも投資を行なう上でメリットばかりではなく、デメリットとして牙をむく場合があることを一つの教訓として学んでおく必要があります。

不動産投資に必要な手続きや時間は投資を冷静に判断する機会を与えてくれる

Bさんのケースでもう一つ学ぶべきことは「投資で成功したい、勝ちたい」といった自分の欲求をコントロールすることで、冷静さを保つことが大切であるということです。

投資に不慣れな方、即ち投資に対する自分の欲求をコントロールする経験や訓練が乏しい方が、手軽で簡単に行える投資に取り組んでしまえば、Bさんのような失敗を犯してしまうリスクが高まります。

不動産投資とFX投資を比較した場合、不動産投資にはFXのような手軽さはありませんし、瞬時に物件を売却できる簡便さもありません。

また、家賃収入を得ることで投資資金の回収や利益の確保を目指す場合には、長期の時間も必要になります。

しかし、不動産投資のそうしたデメリットは、つい熱くなってギャンブルのような投資を繰り返してしまうことを防いだり、投資家に自分が行なっている投資とじっくり向き合う時間的な余裕や冷静さを保つ機会を与えたりする役割も果たしてくれます。

これは何もFX=ダメ、不動産投資=良いといった安直な教訓としてお伝えしようとしているのではありません。

一つは投資手順の利便性や簡便さだけを比較して投資の選定を行なってはならないということです。

もう一つは投資に付き物となる自分の「儲けたい、勝ちたい」といった欲求と正直に向き合い、自分が冷静にそれらをコントロールできるかを真摯に考えた上で投資を選ぶことが大切であるということです。

これらのことも、これから投資に取り組もうとしている方々はぜひ教訓として覚えておくようにしてください。