ライフイベントのタイミングで見直したい資産形成

世界全体の様相を見ても、今後の日本経済が大きく右肩上がりになる状況は望めそうもありません。
今後はより良い人生設計のために、個人での資産形成に関する重要度がますます増していきます。
人生の節目となるライフイベントは、資産形成の開始や見直しの良い機会です。

新しい家族を迎える時や、子どもの新入学、就職、そして老後への準備。
資産を保有することで、時代の激しい流れの中でもゆるぎない安心がもたらされます。

お金の問題には、個人としても常に積極的であるべきです。
それぞれのライフイベントに合わせた、資産形成について考えていきましょう。

ライフイベントごとに必要な金額は?

乗り越えるべきライフイベントに備える

一人前の社会人となっても独身者のうちから、将来必要となる負担の額をしっかりと把握できているのはごく少数ではないでしょうか。

一般的にライフイベントとされる出来事や行事には、どれほどの費用がかかるのでしょう。
ライフイベントは個人の生き方によっても変わってきますが、主には次のようなものが挙げられます。

・結婚
・子育て
・教育
・住宅購入
・老後

2015年ゼクシィ 結婚トレンド調査によると、挙式・披露宴の全国平均費用は350万円です。
続く子育て・教育についてかかる費用は、未就学児でも毎年100万円、その後大学卒業までには国公立で約930万円、私立では約2300万円となっています。(平成26年度子供の学習費調査:文部科学省)

住宅購入に関しては、戸建てやマンションといった形態及び居住エリアによって大きく差がありますが、2015年住宅金融支援機構の調査によると、マンションの購入価格は全国平均で約4,250万円です。

老後必要となる生活費では、平成27年発表の「家計調査年報(家計収支編) 」(総務省統計局)によると、年金などの社会保障給付で賄いきれない赤字部分が毎月6万円以上発生すると見られています。

年代別の資産形成

資産形成の開始は、いつからスタートといった正解はありません。
その手法や資産形成につぎ込める金額も、人それぞれです。

ひとつ言えるのは、どんな年代であれ着手が早いほど効果が上がり、その後の人生の基盤が強固になるのは間違いないということです。

学生生活を終え社会人になった時点から資産形成に対する知識を持ち、一歩ずつ積み上げていけるのが理想的ではあります。しかし、さまざまな可能性を探り、効率の良い資産形成に向けて行動すれば、年齢にとらわれて諦める必要はありません。

20代のうちは自己投資の面が強く、資産形成に回せる余裕はごくわずかとなるかもしれません。
それでも月に1万円を投資に回す意識を持つ・持たないは、長い目で見た時に大きな違いを生み出します。

30代からは本格的な資産形成のプランが始まる、「資産形成層」に位置します。
30代~40代は、収支が黒字化され預貯金の余裕ができ始める年代です。
その一方で、教育や住宅購入など、大型支出とのバランスを失いやすい危うさもあります。

キャッシュフローをにらみ貯蓄分をいかに資産拡大させていくかが、老後資産形成の大きなカギとなります。

さらにその上の年代になるとライフイベントもひと通り落ち着き、「増やしながら使う」「減らさずに暮らす」時期が到来します。もちろんこれは、その年代に至るまでの順調な資産形成があってこその生活です。

生命保険文化センターの平成28年度「生活保障に関する調査」では、6割を超える人が“生活設計なし”“わからない”と回答しています。決定的な国策が期待できない今、個人が生活を救う具体策を持たずに、老後を迎えるほど心もとないものはありません。

資産形成の基本的な考え方とその手法

ゼロスタートからの資産形成

資産形成をどう始めていくかは、元々の生活状況にもよります。
資産家である場合には、いきなり投資からスタートできますが、一般人には望むべくもありません。
誰もが最初の段階は似たようなものです。

・稼ぐ=収入を得る
・ムダをなくし支出をカットする
・お金を貯める

そしてここからが、人生を変えていく分かれ目です。
日本人の場合には、貯蓄が奨励される傾向があるため、そこでストップしがちです。
しかし資産形成のためには、「増やす」が欠けていてはどうにもなりません。

毎月ある程度貯蓄できているのならば、そのうち半分を投資に回すくらいでなければ、低金利の時代の資産形成は困難です。国内株式、投資信託、国内債券(国債)、外貨建て債券など、商品はさまざまです。

投資の段階としては若いうちこそ、ややリスクがあっても少額から試していき、年代が上がるにつれて安全資産を増やすという方向性で動くのがベストです。

具体策を選択する

資産形成の具体的な手法を見ておきましょう。

・定期預金加入
・積立型生命保険加入
・株式・投資信託
・不動産投資

資産形成に当たって、専門家の多くができるだけ多くの分散型投資を勧めています。
とはいえ、誰もが数多くの運用法を選べるわけではありません。

就職と同時に財形貯蓄を始める、子どもが生まれたら利回りの良い学資保険を利用する、など最初は限られた資金の中から、生活レベルにあった着実な方法を選択していきます。

不動産投資を活用しよう

最終的にメインとなる資産形成の手法には、不動産投資がおすすめです。
不動産投資が実は効率が良く、リスクの少ない資産形成の手段であることはごく一部にしか認識されていません。

通過するライフイベントは人それぞれですが、老後の生活については誰しも一様に考えざるを得ない問題です。
そこに焦点を当てて考えれば、不動産を資産として保有し、その利回りで生活に余裕ができるのはとても理に叶った方法であると言えます。

もちろん、資産形成につながる投資とするためには、知識やタイミングなど学ぶべきものもあります。

それでも株やその他の投資のリスク・運用益を考え合せたとき、確実に物件が手元に残る不動産投資を資産形成の要にすえるのが、もっとも安定した策といえるのではないでしょうか。

段階を追った資産形成の実施

区分マンションを購入する若い女性が増加

堅実な現代の若い女性たちの中には、年収に見合った無理のない不動産投資を始める人が増えているようです。

中には年収300万円台から投資を始めた例もあり、不動産投資が特別給与に恵まれた人だけのものではないのがわかります。無理のない投資をするためには、最初は中古マンションなど手の届きやすい物件から始め、自分で住みながら徐々に付加価値を上げる工夫も可能です。

ライフイベントとの調和

ライフイベントと重ねて考えると、結婚資金を低く抑え、不動産購入に充てるという選択もあります。

もっともお金がかかる子育て以降で楽になるために、そこでの物件選びは重要です。タイミング良く買い替えてさらに運用益を高める、あるいは子どもの独立の際にそのまま活用することも想定できます。

不動産購入の際には、ローンの選択も大きなポイントのひとつです。
ご自身の生活状況に合った方法をプロに相談しましょう。
融資の申請は、年収500万円以上あれば比較的通りやすくなります。
貯蓄や積立信託などで頭金が確保できていれば、不動産投資へのハードルは一層低いものとなります。

人生全般を支える不動産投資

ライフイベントをクリアしながら、老後の安定した生活を得るためには資産形成への意識を高めていかなければなりません。
人生の最終地点までの道のりをイメージし、各時点での資産拡大への可能性を探ります。

資産形成に大切なのは、「今すぐできることから始める」という気持ちです。

今はまだ実感のない世代であっても、いずれは収入が減少する年齢となります。
今のうちに足元を固め、安定的に不労所得が得られる手段を個人で確保しておかなければなりません。

何も考えなければ、そのままスルーしていくのが人生です。
老後に不安を抱えないためには、時に思い切った決断が必要とされます。

ライフイベントは、現在から未来を見通す良いチャンスです。
この後のために何をしておけば良いのか、過不足を割り出すことで、効果的で実現性のある資産形成の手段が浮かび上がってくるでしょう。